理学療法士・作業療法士の介護予防領域への職域拡大が急務だと思う件
私は作業療法士であり、作業療法士の仕事は障害児・者に対するリハビリテーションです。しかし、私はその仕事を放棄し、現在は整体サロンを営んでいるわけです。
理学療法士や作業療法士の開業は認められておらず、リハビリテーションを行うのにも医師の処方がいるというかなり限られた権限しか持たない職業です。
また、名称独占だけで業務独占ではないという何とも理不尽な資格でもあります。(名称独占とは、資格を持たない者が理学療法や作業療法を謳ってはいけないというもので、業務独占とは、作業療法士がセラピーを行っていても、医師の処方の元しかるべき場で行われたもの以外は作業療法と言えないという規則です。)
要するに国家に認められたリハビリテーションの専門家ではあるものの、その権限はメチャメチャ少ないのです。
しかし、現状の社会状況を考えると、理学療法士・作業療法士はもっと『障害を持つ前の(治療の必要のない)』方々に対して、障害者にならないための予防に力を入れていくべきだと思うのです。
医療費に切迫されている日本経済を考えると、よっぽどその方が得策かと。
今回は、その『予防領域』に関する様々な問題点や解決策についてお話したいと思います。
予防業界の問題点
ここでは『予防』というものを、あなたは病気の予防のため、健康寿命を伸ばすため、長く美しくいるための対策と定義させて頂きます。これらの事が敷いては要介護状態に陥らないための秘訣だからです。
その予防業界には様々な問題をはらんでいます。
以下にその問題点をご紹介したいと思います。
医療従事者の関わりが非常に少ない
お医者さんのメインの業務は診断と治療です。予防医療に関わっている医師はほとんどいません。看護師や理学療法士・作業療法士、薬剤師など諸々の医療従事者はその業務の主体を『治療』に置いていて『予防』に関わっているものはほとんどいません。
整骨院を運営できる柔道整復師さんは肩こり・腰痛などに対する施術はしているものの、保険適応可能で本職はやはり治療です。慢性的な痛みやだるさへの対応は本来の業務ではありません。
では、誰が予防領域に関わっているのか…。
殆どが何の医療的知識を持たない素人さんです。整体師やエステティシャンなどは、他者の身体に触れ、何らかのいい働きだったり改善をもたらすことを目的にしているにも関わらず医学や医学関連知識を学んでいません。
また、サプリメントなどの『健康食品』の開発・研究に関して医療従事者が関わってしっかりとした研究をされているものばかりではありません。そういえば先日消費者庁が『好転反応ってワードに要注意』と通達を出していました。(参考エントリー:危険!好転反応は嘘?消費者庁が注意喚起!)
怖いですよね。素人が健康語るって。
ちなみに、先日別のエントリーで書いたずんずん運動のNPO代表が逮捕されました。(参考エントリー:『整体後に赤ちゃん死亡』から学ぶ、親のあり方)
こんな事件や詐欺やら色々相次いでいる非常にグレーなゾーンなのであります。
予防業界の国家資格がない!
しかし、国の予算は基本的に治療の為に使われます。ですから、治療の為の専門家は育成するが、予防の為の専門家は育成しません。
これは仮に国が整備しようとしても既存の無法地帯を好む方々から強い批判が出るでしょう。当然です。法律に縛られない世界で悠々自適に商売されているのですから。
予防業界の国家資格、というよりも法整備がないことが現状の大きな問題となっています。
理学療法士・作業療法士を予防の専門家に!
そこで我々リハビリテーションの専門家を予防の専門家に据えてみてはどうかと提案したいのです。
予防できなかった結果、陥ってしまう要介護状態を改善するためのリハビリを行う我々は、そうならないための予防法に対しても知識・技術は深いですし、最近養成校が乱立し、飽和気味になっています。
そんな私達の新たな職域として予防分野への進出はありだと思うんですよね。
WHOによると、リハビリテーションの定義は『能力低下やその状態を改善し、障がい者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる。リハビリテーションは障がい者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく、障がい者の社会的統合を促す全体として環境や社会に手を加えることも目的とする。』とされています。
能力低下を障害によるものとされていますが、拡大解釈して何らかの理由での能力低下とされれば例えば腰痛や肩こりなどの身体症状、糖尿病予備群、認知症リスクの高い状態、筋肉や骨の老化を原因に能力低下が起こっていればもはやリハビリテーションの対象になると思うのです。
ですから、来年度より『予防リハビリテーション協会』ってのを設立しようと思います。笑
まとめ
つらつらと書きましたが、こんなことを日々考えながら、どうやったら一番お客様にとって安心安全な予防生活を送っていたらけるかを検討しております。
もっと多くの理学療法士・作業療法士に賛同頂ければ良いなぁと思っておりますので、近いところにいらっしゃいましたらお声がけくださいね。笑
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