妊婦さん必見!カンガルーケア(早期母子接触)の効用と危険性について
2014年10月31日に、大阪高裁にて、一つの控訴審判決が下されました。カンガルーケア(早期母子接触)の最中に乳児が窒息し、重い障害(脳性まひ)をおってしまったとして、母子が病院に対し2億7000万円の訴訟を起こした控訴審判決です。結果は一審の判決を支持し、控訴を棄却する形になったそうです。
現在、妊娠中の方や、これから出産を控えている方の中には既にカンガルーケアの存在をご存知で、希望されている方も多いと思います。
今回の裁判では、病院の設備・対応と窒息には因果関係がないという判断をされていますが、カンガルーケアと窒息の因果関係に関しては言及されていないそうです。また、その他にも同様の、或いは似た事故が沢山起こっているのです。
もしあなたが、今カンガルーケアをご検討であれば、まずカンガルーケアの有用性、あるいはリスクについて知った上でご検討下さい。
カンガルーケア(早期母子接触)とは
タッチケアに類似した新生児ケア。南米コロンビアで始まったといわれる育児法で、親が直接赤ちゃんを素肌に抱いて保温する。日本では、親子の肌が触れ合うことで、親子のきずなの成立を目指している。これらの新生児ケアは新生児集中治療室(NICU)の6割近くがとり入れている。(コトバンク)
愛着形成に一役かっているようですね。
では、そのカンガルーケアにはどのような効果が期待されているのでしょうか。
- 生まれて間もない赤ちゃんが母親の肌に密着して、一定の体温を保てる。
- 母親に抱かれていることが胎内でいた時に似ていることで安心感を与える。
- 母親の鼓動や呼吸を赤ちゃんも感じ取ることができる。
- 母親の常在菌が赤ちゃんの免疫を作る手助けをする。
- 赤ちゃんが安心して、眠りが深くなる。 ・泣いている赤ちゃんを落ち着かせる。
- 母乳が出やすくなり、母乳保育に積極的になれる。
- 産後の疲れた母体を赤ちゃんが癒してくれる。
- 小さなわが子を抱くことで親の自覚が強くなる。
(引用元:カンガルーケア e-育児さん)
これらのような効果は、様々な研究機関で検証され科学的根拠も証明されているようです。
■参照元
このようにカンガルーケアは科学的にも効果ありと言われているからやりたくなるのは当然の事かと思います。
ちなみに、我が家は2人ともカンガルーケアされてました。妻は『たま○よ』的な雑誌で『先輩ママのこれだけはやっておいた方が良い』的な口コミを鵜呑みにしてやったようです。ちなみにクリニックでは長い時間ではないし、スタッフもついているから大丈夫という説明は受けたもののリスクに関する説明はなかったようです。
カンガルーケアの事故例
カンガルーケアによる事故は全国各地で相次いでいるようです。
(引用元:完全母乳とカンガルーケアは発達障害児の危険因子)
発達障害との因果関係もあるようです。
(引用元:完全母乳とカンガルーケアは発達障害児の危険因子)
また、こども未来財団の研究「分娩室・新生児室における母子の安全性についての全国調査」で、2010 年の早期母子接触の全国調査が行われ以下の様な結果を得ています。
- 65.4%の施設で実施されていた。
- 実施基準の整備率は 30.7%であった。
- 実施前の妊婦への十分な説明と同意取得率は 48.2%であった。
- 分娩台の角度基準が設定されている施設は 13.0%であった。
- 中断・中止基準が設定されている施設は 39.9%であった。
- 開始時期は出生直後が 35.5%、1-5 分が 41.8%、6-10 分が 7.8%、15 分以上が 14.9%であり、約 8 割の施設は出生後 5 分以内に開始されていた。
- 実施時間は 10 分間以内が 28.5%、15-30 分間が 27.7%、40-60 分間が 19.7%、90 分間以上は 19.9%であった。
- 医療従事者の常駐率は 74.8%であったが、児の全身状態の記録率は 28.3%であった。
- 各種モニタリング実施率は 49.9%であり、パルスオキシメータは 42.4%に装着されていた。
- 児の変化(これは前述のような重篤な状態に限らない)経験施設率は 4.2%であった。
- 児の変化の発生率は 138,534 例中 21 例(15.2/10 万出生)であり、約 1 万の早期母子接触中 1.5 人、児の変化が発生したことが確認された。
(引用元:「早期母子接触」実施の留意点)
私の個人的な感想ですが、えらい怖いことやっとたんやな。と思いました。今までにカンガルーケアに関する事故情報を見聞きしていたら、恐らく躊躇していたと思います。そして、今日このニュースをみかけてかなりホッとしています。
でも、多くの方が我が家のように気軽にカンガルーケアの依頼をしているのではないでしょうか。そして、医療機関からも詳しい説明がなく実際に行い、運悪く障害が残ったり、死亡したりしているケースがあるのです。本当にゾッとします。
カンガルーケアを行う際の留意点
先に引用した「早期母子接触」実施の留意点にて紹介されているのでご参照下さい。
医療従事者の留意点としては、恐らくこれが限界だろうと思える内容でまとめられています。
私たちは、その病院の設備をしり、過去実績を知ることを『失礼を承知で』行った方が良いでしょう。
まとめ
我が家に今後、コウノトリさんが子どもを運んできてくれるかどうかわかりません。(コウノトリさんを呼ぶかどうかもわかりません。笑)
でも、もし仮にコウノトリさんが子どもを運んできてくれたとしたら、やはりカンガルーケアについては考えると思います。その病院の設備や過去の実績について十分に聞いて、安全について一筆書いてくれるような先生だったら信頼できますね。(まぁ、恐らく一筆書く様な先生はいないでしょうが。)
今お考えの方も、是非、受診されている病院について調べてみて下さいね。
看護師さん応援キャンペーン
最大67%割引実施中!
関連記事