女性の人生を狂わすSNEPとは?その予防法と対処法に関する考察
先日朝の情報番組でSNEPというものの存在を知りました。SNEPとは、Solitary Non-Employed Personsの略で、孤立無業者と訳するのだそうです。20歳以上59歳以下の未婚の無業者(ニート)のうち、普段ずっと一人でいるか、一緒にいる人が家族以外にはいない人々を指す用語です。
今回、女性のSNEPが増えているという事に危機を感じた私は、その予防法・対処法について考えてみたので、シェアしたいと思います。是非、皆さんのご意見もお聞かせ頂ければ幸いです。
SNEPとは
SNEPについては、2012年から東京大学社会科学研究所教授の玄田有史先生が提唱しておられます。氏が2012年の6月12日号の週間エコノミストに寄稿したのが、世間にSNEPという言葉が提唱された初めての機会だったようです。
調査によると、SNEPは2000年代に急増しており、2011年の調査では、60歳未満の無職・未婚者のうち約6割がSNEPで現在、日本全国に162万人以上いると言われています。
SNEPにカテゴライズされる方は、総じて社会との関わりが薄く、
- テレビの視聴時間や睡眠時間がニートと比して長く、誰とも一緒にいない一人型の孤立無業ほどその傾向が強い
- インターネットの利用も少なく、テレビゲームの利用頻度も特別に多いとはいえない
- 過去一年にスポーツ、旅行、ボランティアなどを一切経験していないことも多い
という特徴があるようです。
そして、その中でも特に問題視されているのが女性のSNEPで、『介護』や『離婚』によって起こっているのだとか。
以下に女性のSNEPの分類と特徴を挙げたいと思います。(番組内容より引用・編集しました。引用元;あさいち)
介護SNEP
両親や祖父母の介護をするため退職し、実家に帰ったものの、地元で再就職が決まらず、社会から孤立し、引きこもるパターン。「介護が終わったら、何か仕事があるだろう」「地元でなら就職しやすいだろう」と考えていたが、まったくダメだった例もあるようです。
離婚SNEP
離婚率の増加から、特に女性に増えているSNEPで、再就職を考えても「履歴書のブランクを埋められない」「働きたい気持ちはあるが、人とのつながりがなく追い込まれる」などの理由から、就職先が見つからず引きこもるパターン。また、実家に戻ると『離婚したことが周囲にばれ』世間体を考えてしまい地元の友人とも疎遠になってしまうことが多いようです。
失恋SNEP
婚約していたことを周囲に言ってしまい、破談になったことを知られたくないために仕事を辞め、そのまま引きこもるパターン。
職場燃え尽きSNEP
職場で仕事や人間関係などに疲れて退職し、再就職が出来ず引きこもるパターン。
UターンSNEP
都会で培ったスキルを故郷で活かそうとUターンしたものの、地方でスキルに見合った仕事がなく、「自分が必要とされていない」と感じてしまい引きこもるパターン。
転職SNEP
キャリアアップを目指して転職したものの、思うようにいかず引きこもるパターン。
女性のSNEP問題の本質
『介護』『離婚』など、誰にでもどこにでも発生する問題の被害者には決まって女性がなります。もちろん、逆もあるでしょうが女性の方が圧倒的に多いと思います。
つまり、女性のSNEP問題とは『社会構造』の問題ではないかと思います。安倍政権は『女性の為の政策』といって、ちょっと理解に苦しむ政策ばかりを考えておられるようです。(特に自民党批判の意味は込めておりません。)
私は、未来の子ども達の豊かで安心な生活に不安を感じ、その為には女性の輝ける環境が必要だということで起業し、店を持つに至りました。その為、女性の活躍を阻害する現状には少し憤りを感じます。
もちろん、『失恋』や『離婚』などは女性自身にも責任はあると思います。しかし、それらにしてもそれらが『あり得ない事』と認識させる日本社会の悪習ではないかと思うのです。
このような根本的な問題がある以上、政府主導の抜本的な改革を行わなければ、収束することはないのだと思います。
しかし、『Uターン』や『転職』のようにスキルのある女性達が、社会に貢献できていないのは日本にとっても非常に痛手ですし、『職場燃え尽き』のように本人の意識よりも会社側に問題がある場合はとても勿体ないです。
ですので、私の整体師という立場からこの状況に対する予防策・打開策について考えてみました。
女性のSNEPに対する予防法と対処法
国からの支援というのはかなり難しいと思いますし、このSNEP提唱者である玄田氏も、「乗り越える人の特徴は、周囲に協力してくれる人が誰かしらいたこと」として、「一人で抱え込まずに、必ず誰かに相談すること。『苦しい』と声をあげることが大事。家族だけで抱え込まないでほしい」と番組の中でアドバイスされていますが、それが出来れば…という感はいなめません。
ですので、私の立場から考えた予防策・対処法を提案したいと思います。宜しければ参考にしてみて下さい。
SNEPへの予防策とは
いつでも、誰でも『介護』しなければいけない状況や、『離婚』するということはあり得るでしょう。
ちなみに日本の要介護者数は年々増えていますし(下図参照)、離婚者数も近年は徐々に減少しているとはいえ、昔に比べると増えています。(下図参照)※SNEPが急激に増えた2000年代に一番離婚数もピークを迎えています。
(要介護者数推移)
(離婚件数推移)
また、介護者の7割が女性であり、介護の対象は以下の通りです。(下図参照)
離婚の原因は男性、女性どちらに非があるというのは一概に言えないでしょう。どちらにも原因があると思います。男女共『性格の不一致』が一番の原因のようですから。
しかし、離婚によって被る被害は女性の方が多いと思います。専業主婦になることで、離職をした人、妊娠・出産を機に仕事を辞める人など仕事を離れるのはやはり女性の方が多いと思います。
また、それを支援する体勢も現状の日本には整っていません。
それらの環境を見て女性SNEPを予防する方法とは、以下の2つに集客されるのではないかと考えます。
女性自身が自立し、将来を見据えたライフプランを立てる
『どうせ結婚したら仕事辞めるから…』と片手間で仕事していたり、『望まない妊娠』で仕事を手放し、結婚する事になったりすると、SNEPになるリスクが高まります。
しかし、逆に信念を持って仕事に取り組み、お互いを尊重し合える関係性の相手と結婚し、しかるべき時に妊娠・出産するプランを明確にしておくことでSNEPに陥る可能性はかなり減らせるのではないでしょうか。
もちろん、簡単なことではないとは思います。しかし全くの個人的見解ですが、これからの時代、こういう人生を謳歌できている女性が社会に貢献していくのではないかと考えます。
人生を楽しみ、社会に必要とされ、貢献して行く事こそがSNEPを予防する最善の方法なのではないかと考えます。
具体的には、
- 楽しめる仕事を持つ。
- 1人で生きていけるベースを持つ。
- 結婚・出産は選択肢の1つであると捉える。
- 結婚・妊娠・出産をリスクだと捉えない。
- 性に対して、真摯に向き合い考え、行動する。
- 依存しない。
などでしょうか。これらは意識しておくだけでも随分違ってくると思います。
「私には無理」と悲観的に捉える方も多いかと思いますが、SNEPが増えている事を知り、その対策は国では現状講じられておらず、自分が自立することでしか予防できないと意識するだけでも結構です。まずは、意識してみて下さい。
ソーシャルネットワーキングを強める
ソーシャルネットワーキングシステム(SNS)を多用しろという分けではありません。周囲との繋がりを強めろということです。
あなたの周囲には、本当に腹を割って話をできる相手は何人居ますか?
恐らく1桁って方が多いのではないでしょうか。中には家族にすら無理、0名って方もいらっしゃることでしょう。現在の社会情勢を見ていると頷けます。
家族や友人に相談することが悩みの解決に繋がるとは思いません。介護や離婚などプライベートな悩みになればなるほど相談できる相手は限られますし、相手が専門家でも無い限り的確なアドバイスはできないでしょうし、『聞いてもらえるだけでスッキリする』レベルの悩みならSNEPなどには陥らないでしょう。
繋がりを強くする理由は、あなたの為に何とか力になりたいと思ってくれる人が多ければ多いほど、SNEPに陥る前に何らかの的確なアドバイスをくれる人に会えるかもしれませんし、仮にSNEPに陥っても救い出してくれる人が現れるかもしれません。
既に述べたように、SNEP提唱者が「一人で抱え込まずに、必ず誰かに相談すること。『苦しい』と声をあげることが大事。家族だけで抱え込まないでほしい」と言っています。
それを可能にするのは、事前に相談できる相手を出来るだけ沢山見つけておく事ではないでしょうか。
女性のSNEP対処法
恐らく現状SNEPという状況に陥っている人には、この現状を打破するパワーは残っていないでしょう。ですから、周囲の協力が必要です。
番組内で紹介されている内容や、ネット上の情報を見ていると、やはり当事者の家族がSNEP対処のキーパーソンになっているようです。当たり前ですよね、家族以外との交流がある時点でSNEPにはならないのですから。
私は、仮に自分の娘がこのような状況に陥ったら、娘のためになる形で支援することを決めています。子どもに対して本気で関わる覚悟が親の側に必要になると思います。
今も昔も、より深く関わる事が良いと考える親と、自立を促すために放置する親と大きく分けて二つに分かれると思います。しかし、一度SNEPに陥った子どもを救うにはその中庸を取ることが重要だと思います。
過保護に対応しすぎると、SNEPに陥った子どもは依存傾向が強過ぎますし、放置すると益々孤立します。
今日、番組で紹介されていたケースがモデルケースだと思ったので紹介しておきます。
父親が様々な支援施設、支援者に相談し、『資格をとること』を勧められて、その中でも医療従事者になれ、うまくいけば正社員として働けるかもしれない『理学療法士』養成専門学校への入学を『半ば無理矢理』にススメ、学費も『半分』支援し、入学後もしばらくは通学に関する声かけなど辛抱強く関わったそうです。
資格をとって、正社員になることが全てではないと思いますが、復帰のプロセスとしては非常に効率的なのではないかと思いました。学生という社会の厳しさの少ない場でリハビリし、その後就職難からはほど遠い医療系資格を活用して就職するのは手堅いです。(※私もその手堅さを狙って医療系資格を取得したという側面もあります。)
学費も半分出させる事で依存させず、且つ(自腹切ったから)何とかやりきりたいという思いも強まるでしょう。
もちろん、ケースバイケースで上手く行く場合もそうでない場合もあるでしょう。しかし、一つの成功モデルとしては非常に良いモデルだと思います。
今後、精神保健などの現場で、成功モデルの集積を行えば、さらに復帰率は上がるのではないかと思いますので、関係者の方には是非実現して欲しいと思います。
まとめ
現状の日本社会構造においては、SNEPは増える一方になるでしょう。今後更に超不健康で不景気な時代に突入しますから、『介護』『離婚』そもそも『未婚』な女性は増えてくる事でしょう。
そんな中、政府の対応には期待できません。
更に一度SNEPに陥ると、自らの力で打破するのは非常に難しくなると思います。ですから、予防の所で述べたように、女性自身が自立し、且つ予防線をはる意味でも家族以外に繋がりの強い友人を沢山つくることです。
そのポイントは『自己開示』ではないでしょうか。自分をさらけ出す力です。
自分の良い所も悪い所も自ら把握する努力をし、それを世間に向けてさらけ出す勇気を持てば、次第とあなたの周囲には人が増えてくると思います。
また、この予防をできる女性が増えれば、結果的にこの問題に立ち向かう人も増え、国としても対策に乗りだす女性も出てくるかもしれませんね。
まずは、自己防衛こそ最大で最良の予防法かと思います。
是非、現状のご自身のライフプランを見つめ直し、『このままで良いのか?』と自問自答した後、あなたの望む方向へ歩んで頂きたいと思います。
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