マンモグラフィーは無意味!乳がん検査に新たな情報が
『ピンクリボン』という言葉を知っていますか?
wikiによると、ピンクリボンとは、乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進すること、などを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーン、もしくはそのシンボルのことです。(wiki)
日本において10月1日は『ピンクリボンデー』に制定されており、今月は東京、神戸の2会場でピンクリボンフェスティバルなるものも開催されているようです。また、アメリカでは10月第3週の金曜日が、「ナショナル・マンモグラフィーデー(National Mammography Day)」として1993年に制定されているそうです。
さて、日本において乳がんの罹患率は他の癌に比べて圧倒的に多い事をご存知でしたか?
現在の日本では16人に1人が乳がんに罹患するようです。そして、死亡率も徐々に高まっているようです。
乳がん検診の普及を推進しているのにも関わらず、乳がんが減っていないのが現状のようです。何故か?もしかしたらそれは現状の検査法に問題があるのかもしれません。
今回は、乳がん検査の方法として認知されはじめて久しい、マンモグラフィーの効果がないという調査結果が出たのでご紹介するとともに対策法をお伝えしたいと思います。
マンモグラフィー検査とは
乳癌の早期発見のために人の乳房をX線撮影する手法、またそのための乳房X線撮影装置のこと。 mammographyとは、「乳房」+「画像」から作られた造語である。 (wiki)
乳房を機械で挟み平にしてレントゲンを撮るというものです。
乳がんの早期発見に役立つ、でも痛い…。などという噂が一般的になりはじめたのは2000年初頭だったのではないでしょうか。今では乳がん検診=マンモグラフィーというレベルで認知されているように感じます。
マンモグラフィーは癌死亡率低下に効果的か?
カナダでは以下のような研究が行われています。
Twenty five year follow-up for breast cancer incidence and mortality of the Canadian National Breast Screening Study: randomised screening trial
(乳癌の発症率と死亡率について、25年間の追跡調査:カナダ国立乳癌検診での研究ランダム比較試験)
要約は以下の通りです。
カナダ国立乳癌検診での研究の要約
研究概要
マンモグラフィー検診の受診有無で、40-59歳の女性の25年間の乳癌の発症率と死亡率について、比較を行った。カナダの15の検診センターで1980-85年に検診を受けた、89835人の40-59歳の女性を対象に、マンモグラフィー検査を受けるかどうかについて、ランダム比較試験を行い、その後の乳癌の死亡率を検討した。
結果
5年間のスクリーニング期間中には、マンモグラフィー検診(44925人)で666人、対照群の通常の検診(44910人)で524人の進行期乳癌が発見された。また、マンモグラフィー群で180人、対照群で171人が、その後の25年間で乳癌で死亡した。
スクリニーニング期間中のマンモグラフィー群の乳癌死亡に関するハザード比は、1.05 (95%CI:0.85-1.30)であった。両群の乳癌発見は同等であった。
追跡調査期間も含めて全体の期間では、マンモグラフィー群で3250人、対照群で3133人が乳癌と診断されたと考えられ、乳癌で死亡したのは、500人と505人と考えられた。
結果、マンモグラフィー群と対照群での乳癌死亡率はほぼ同等と考えられ、ハザード比は0.99(95%CI:0.88-1.12)であった。15年間での追跡調査では、マンモグラフィーで観察された106の乳癌が乳癌ではない過剰診断であった。
結論
40-59歳の女性に対する、定期的なマンモグラフィー検診は、身体診察による検診や普通に行われている乳癌治療による場合と比べて、乳癌の死亡率を減少させることはなかった。また、進行期の乳癌と診断された484人中106人 22%が過剰診断であって、これは、マンモグラフィー検診を受けた424人に1人の割合であった。
スイスの医療委員会の見解
また、スイスでは以下のようなことがいわれています。
スイス医療委員会が「マンモグラフィー健診は乳がんによる全死亡率を低下させない」と結論付けて、廃止勧告
(参考:マンモグラフィー検診には廃止勧告も、スイス医療委員会「有益な効果認めず」 MADエッジさん)
この中では、カナダでの研究に加え、世界的な臨床研究の評価誌である「コクランレビュー」によれば、乳がんによる死亡率を下げる効果はないと指摘していることなども加味し、世界でもトップクラスの医学誌であるニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌で報告したと言っています。
マンモグラフィーの有効性
年代、条件、癌の進行具合などによって有効なケースもあるのかもしれまえん。
しかし、過剰な診断や身体への負担を考えると有効でない場合も多く、スイスの医療委員会が提言しているように、情報提供の上で、女性に選択する力を身につけてもらう事が重要なのではないかと思います。
視触診の有効性は?
では、マンモグラフィーではなくどのように検査していけば良いのでしょうか?マンモグラフィーと並んで行われている乳がん検査は視触診です。その名の通り、視て、触って判断するという方法ですね。
この視触診については以下のように言われています。
『視触診による乳癌検診は死亡率を減少させるか マインズガイドラインセンターさん』の中では、『視触診単独による乳癌検診の死亡率減少効果を示す根拠は不十分であるが,無症状の受診者においては死亡率を減少させる可能性がある。』との結論が出されています。
つまり、まだ何かしらの症状がない場合の健診において、視触診は有効であると考えられます。しかし、日本の自治体の3割を超える自治体で、視触診がはぶかれているという現状が話題になりました。
各自治体で様々な問題は有るかと思いますが、マンモグラフィーのみで終わらせている自治体が沢山あるようです。それでは乳がんでの死亡率が減るはずも有りません。
対策は?
2008年の少し古いデータですが、『乳がんのリスクファクター』というものがありました。
ここから、乳がんの予防に繋がる可能性の高い情報を抜粋しておきます。
- アルコール飲料の摂取は乳癌のリスクを増加させる。
- 特に閉経前の肥満は乳癌のリスクを高めている。
- 閉経後は運動で乳がんリスクを減少させる。
- 出産経験のない女性は出産経験のある女性と比較して乳癌のリスクが高い。
- 初産年齢が低いほど乳癌のリスクは低く、初産年齢が高い女性は乳癌のリスクが高い。
- 授乳経験のない女性は授乳経験のある女性と比較して、乳癌のリスクが増加する。
- 授乳期間が長くなるほど乳癌のリスクが低下する。
- 早い初経年齢が乳癌のリスクを増加させる。
- プロゲステロン併用療法ではわずかではあるが乳癌のリスクを増加させる。
- 病理学的に増殖性変化を示す病変、特に異型過形成が乳癌のリスクを増加させる。
- 乳癌家族歴は乳癌のリスク因子となる。
特に気をつける事が可能なのはアルコールの摂取と、肥満の予防でしょうか。可能であれば出来るだけ早く出産し、できるだけ長く授乳することも乳がんの予防にはなりますが、そこには別の問題もあるかと思いますし、出産や授乳は『乳がん予防の為』に行うべきものではないと思いますのでよく考えて頂ければと思います。
また、アメリカでは新しい健診法の開発の必要性がさけばれています。(参考:乳癌マンモ不要論の衝撃 Newsweekさん)
もっと有効な健診法が現れる事にも期待しますが、まずは自分で予防する事から考えてみて下さい。
まとめ
重要なのはまず知る事。何が正しくて、何が間違っているかを調べてみましょう。マンモグラフィーを受けた方が良い場合、そうでない場合人によって違う事はこのエントリーで分って頂けたと思います。
そして、何より予防する事が大切です。
アルコールの摂取量を調整する事。脂肪の量を調整すること。これらは免疫力の高い身体を作る事にも繋がります。
是非、ご自身の身体について見つめ直してみて下さいね。その為のピンクリボン運動であることを切に願います。
追記:最近の情報
マンモグラフィーとエコー検査の併用が発見率を1.5倍上げるという報告がありました。
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