感染症専門医が選ぶ、最も怖いという狂犬病のリスクと対策
日本では、やけに煩くデング熱に関する話題が絶えません。(参考エントリー:70年振りに国内で感染者が現れた『デング熱』とは何かを調べました)現状、日本においては10月末頃(ヒトスジシマカが全滅する頃)に収束するだろうと言われています。それまでは特に代々木公園近隣の方はお気をつけ下さい。
さらに、西日本ではデング熱よりも怖い感染症が流行りつつあります。(参考エントリー:西日本で感染拡大!マダニが媒介する『SFTS』の予防法)こちらはマダニが媒介している感染症で、致死率はデング熱よりも高く、非常に危険な感染症です。
また、世界に目を向けてみると西アフリカを中心にエボラ出血熱の猛威が止まりません。国境なき医師団の医師にも感染が確認されるなか、西アフリカの人口が半分に減っているというニュースを見かけました。
日本に入ってきたらどうする!?という危険性が言われておりますが、そもそもエボラ出血熱は1970年代からある病気で先進各国でも対策はされています。(流行しなかったせいでワクチン開発は遅れました。)仮に日本であれば完璧な隔離設備と、全身管理から、アフリカで流行っているほどの流行もなく、致死率も一般的に言われている50%にもいかないだろうとの事です。(もちろん、感染しないことに越した事はありませんが。)
その他にも『ノロウイルス』や『鶏インフルエンザ』など世界には怖い感染症が沢山あります。現状、これら感染症にかかると対症療法しかなく、血清や予防ワクチンはありません。
このように世界では様々な感染症が流行っていますが、感染症の専門医に言わせると更に怖いのは『狂犬病』であると某番組にて紹介されていました。日本においては徹底されている狂犬病予防ですが、世界に目を向けるとまだまだ日本のレベルに達していない国も沢山あるそうです。
今回は、その狂犬病の感染ルートや症状、対策についてお伝えしたいと思います。
狂犬病とは
狂犬病とはどのような病気でしょうか。
狂犬病は全てのほ乳類に感染する恐れがあり、狂犬病ウイルスに罹患した動物(アジアでは主に犬)に噛まれ、そこから唾液にウイルスが混じり感染します。通常人から人へは感染しませんが、末期症状になった人が精神に錯乱を来たし医療者に噛み付いたりする恐れもありますので全くないとは言い切れません。
最初は発熱や食欲不振、痛みや、痒みだけなのですが、狂犬病ウイルスはウイルスの中でも数少ない脳にまでウイルスが達するので徐々に不安感や麻痺、錯乱、精神異常を来たし、最後には昏睡状態に陥り死亡します。(致死率はほぼ100%)
発症後の治療法はありません。
日本でのリスク
日本では狂犬病の予防接種が義務化されており、日本国内での感染例は1956年を最後に発生がありません。また、動物では1957年の猫での発生を最後に発生がありません。つまり現在、日本は狂犬病の発生のない国です。しかし、平成18年フィリピンで犬に噛まれて放置したまま帰国した方が帰国後発症し死亡したケースが最後のケースとなっています。
現状リスクはありませんが、狂犬病のリスクの国へ渡航される方は予め予防ワクチンを打っておいた方が良いでしょう。主な危険国は以下の図の通りです。
また、犬以外にも狂犬病ウイルスに罹患している動物もいるので、犬にだけ注意を払うのではなく、その国々のウイルスキャリア動物に注意するようにして下さい。
狂犬病への対策
パターンに応じて以下のような形になると思われます。
パターン①日本国内で犬に噛まれた場合
通常の傷の手当だけで大丈夫です。狂犬病の恐れはないと言っても良いでしょう。
パターン②国内で犬を飼っている場合
保健所への登録と年に1回の予防接種が義務づけられています。この徹底した管理によって現状国内でリスクがなくなっています。飼い主のいい加減な管理によりそのリスクを高める可能性があります。
犬を飼う事は責任があるということを覚えておいて下さい。
パターン③危険国へ渡航する場合
予め狂犬病の予防接種をしておいた方が良いでしょう。なお、狂犬病の予防接種可能な医療機関については、検疫所のホームページで案内されていますのでご参照下さい。
パターン④危険国で危険動物に噛まれた場合
直ちに現地の医療機関を受診して下さい。発症を予防するためにワクチンを摂取します。狂犬病の潜伏期間は通常1〜3ヶ月ですので、それまでに可能な限りのプログラム(暴露後プログラム)が用意されています。
現地でプログラムを開始し、日本で引き継ぐ事も可能ですので、まずは現地の医療機関で相談し、帰国後は検疫所のホームページより、お近くの医療機関を受診し相談しましょう。
まとめ
感染症はどのようなルートで、またどのような形に突然変異するかわかりません。今は安全な日本でもデング熱のように感染が広がる可能性があります。
まずは、ご自身ができること。犬を飼っているなら、登録と予防接種をきっちり行う、危険国にいく場合は予め予防接種を、危険国で噛まれた場合は直ちに現地の医療機関で受診をして下さい。
「なーんだ、そんなに危険じゃないじゃん?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは今日、狂犬病について知ったからです。
まずは知る事が重要です。ですから、是非この情報をお友達に教えてあげてくださいね。
(参考サイト:狂犬病に関するQ&Aについて)
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