肥満防止に成功している日本の子どもの30%に味覚障害があるという矛盾を検証
最近2つの矛盾するニュースを見かけました。
- 子どもの味覚に“異変” NHKNewsWEBさん
- 昔ながらの食育が子どもの健康を支える! THE HUFFINGTON POSTさん
前者では、小学校1〜3年生349人に行った調査で、全体の31%にあたる107人に何らかの味覚障害があるという結果が出たそうです。そして、その原因としては『加工食品などの味の濃いものや、人工甘味料を使った飲み物などを頻繁に口にしていた』ことを挙げておられます。また、肥満と合併しているケースも多いのだとか。
そして後者では、『OECD(経済協力開発機構)加盟の先進国の平均では子どもの体重過多や肥満の割合が男子22.9%、女子21.4%なのに対し、日本では男子16.6%、女子14.4%にとどまっている』事から、日本は子どもの肥満防止に成功しており、それは家族で食卓を囲み、両親や祖父母からの昔ながらの食育が良い影響を与えているとのことです。
今回、この両者の相反する調査について、本当の所どうなのかを調べてみました。
日本の子どもの肥満について
日本の子どもの肥満の状況はどのようなものなのでしょうか。下の図をご覧下さい。
(今、子どもが危ない Eco&Childさん)
世界的に見て、スリムな日本の子ども達も、日本だけで見ると肥満率は増加傾向にあるようです。これは、大人でも同じ事が言えるということは別のエントリーでも言及しました。(参考エントリー:中毒性のあるジャンクフードの健康被害について徹底検証)
そして、この原因はジャンクフードや添加物というよりも『日本の和食』から離れつつある事が原因であると考察しました。
ですから、ジャンクフードや添加物の多い加工食品を摂取しない事に越した事はないが、それ以上に自炊したご飯を食べる機会を増やしましょうと結論づけています。これは子どもにも同じ事が言えると思います。
地方と都市部の違いか?
今回前者の研究は、『日本の地方の食卓』にヒントがあるとし、三重県の農村地帯に住む子ども達が調査の対象となっています。祖父母と同居している子ども達の割合も多く、家族揃って食事をする機会も都市部に住む子ども達と比べて多い事が予測されます。そこでの食育が日本の子どもの肥満率が低く抑えられている結果なのかと仮説を立てました。
地方に住む子ども達は、祖父母と同居し、昔ながらの食事を皆で囲んでする事が多いのに対し、都市部の子ども達は、両親が共働きの中簡単な食事で済ませがちになりますし、父親が一緒に食卓を囲まないのも当たり前のようにあると思われます。その為に都市部で肥満率が高くなっているのかと。
しかし、実際は都市部よりも地方の方が肥満率が高いようです。(参考:都会っ子はスリム、地方は肥満多く 文科省保健調査 日本経済新聞さん)
コンビニやファーストフード店が意外と地方の方が多いのかと思い調べてみました。
コンビニ店舗の分布図
(コンビニの出店戦略を地図にしてみたら… THEHUFINGTON POSTさん)
マクドナルド店舗数の分布図
(マクドナルド店舗数 [ 2011年第一位 滋賀県 ] 都道府県別統計とランキングで見る県民性さん)
※その他のファーストフード店の分布図はこちらから見れます。
コンビニ、ファーストフード店共に都市部に多く分布していることがわかります。つまり、コンビニやファーストフードが原因として考えにくいのではないか?ということになります。
子どもの肥満と関連があるのは『運動量』
都会っ子はスリム、地方は肥満多く 文科省保健調査では、調査を分析した結果結果、『学校や家庭が食生活や運動面の改善に取り組んできた成果が出つつある。地方は車社会だったりバス通学が中心だったりして意外に歩くことが少ないことが肥満傾向の子の多さの原因』と結論づけています。
先日のエントリーでもジャンクフードよりも運動する習慣をつける事が大切という武田真治のお話を紹介しました。(参考エントリー:武田真治に学ぶ。肉体美を表現する筋肉の作り方)
調べては居ませんが、確かに高校野球や高校総体の結果を見ていると、都市部の方が強い傾向にあるのはもしかしたら関連があるかもしれませんね。
子どもの味覚について
さて、話を味覚に変えてみましょう。
今回の調査で、子どもの味覚の実態が明らかになったのは初めてなのだそうです。ですから、昔と比べて味覚に何らかの問題があった子どもが昔と比べてどのくらい増えたのか(あるいは減ったのか、それとも昔からそんなものなのか)は分りません。
しかし、この結果の原因としては『加工食品などの味の濃いものや、人工甘味料を使った飲み物などを頻繁に口にしていた』ということを挙げられている事から、ファーストフード店やコンビニの増加から考えて、増えてきていると考えられているのだと思います。
また、子どもが『味の濃いものを好むから』という理由で自炊していても濃いめの味付けをしてしまうケースも多々有るようです。
子どもの味覚の発達については、モネル化学感覚研究所の研究で『2歳のころによく食べたものは大人になっても好きな食べ物になる』と言われているそうです。
日本では6ヶ月過ぎから1歳前にかけて離乳食を開始し、2歳頃にかけて徐々に大人と近い食材を食べるようになり、徐々に味付けも大人と同じ様な味にしていくご家庭が多いのではないでしょうか。
ちなみに我が家の3歳半の娘は、辛味、塩分、糖分は大人に比べて控えめにしていますが、外食した際などは大人と同じものを食べています。(ちなみに肥満ではなくスリムです。笑)
2歳前後の食事をどれだけ気をつけるかによって子どもの味覚発達に影響を与えているという事なのです。
では、その2歳時点での味覚はどのように形成されるのでしょうか?
実は胎児の時の羊水の味が、子どもにとっても味覚を作る原点になるようです。ですから、日本以外の国では子どもに味の濃いものや、油分の多いもの、辛味の強いものを食べさせているケースもあるようです。(参考:離乳食と子供の味覚形成 離乳食ガイドブックさん)
もし、子どもに日本人にあった味覚の形成を望むのであれば妊娠中から、理想とされる食生活を妊婦さん自身が行っていく必要があるかもしれませんね。(参考:人間の味覚は子どものときから「国によって全く違う」ことが明らかに It mamaさん)
まとめ
ジャンクフードや、人工甘味料、加工食品などが身体に良いわけではありません。少ないに越した事はないでしょう。
しかし、日本の子どもの肥満率の増加や、味覚障害の多さに直接的に関係しているわけではないようです。
今回の検証で、
- 肥満に関しては、食べるものも大切ですが、運動量が左右していること。
- 味覚に関しては、ジャンクフードなどがダメなのではなく、ジャンクフードなどを好む味覚に発達させてしまったこと。
がそれぞれ原因であると考えられます。
子どもをスリムに、且つ正常な味覚で育てたければ、より親がこのような情報に着目し、子育てに対して取り組まなければならないと感じました。
是非、皆さんのお子様の状況を見直してあげてみて下さいね。
看護師さん応援キャンペーン
最大67%割引実施中!
関連記事